Column 製造業コラム
日本の生産管理
かつて日本の製造業は、高機能・高品質を強みとした製品を世界市場に送り出し、高い競争力を誇っていました。
その背景には、ひとえに優れた技術力だけではなく、現場で培われてきた「規律」や「改善」といった考え方があったと言われています。
日々の業務の中で、小さな工夫を積み重ねてきたことが、日本のモノづくりを支えてきたのです。
こうした流れの中で、日本での生産管理は「現場を支援する仕組み」として発展してきました。
生産計画を立てたり、工程の進み具合を管理したりと、現場が無理なく安定して動くようにすることが主な役割とされてきました。
一方で、日本企業では経理部門と製造・生産部門が分かれていることが多く、生産管理の担当者が会計やコストまで深く意識する機会は、これまであまり多くありませんでした。
そのため、生産管理は現場中心の管理になりやすく、コストの関係が見えにくくなっていた面もあります。
生産管理に求められるコストの視点
こうした背景の中で、昨今の世界情勢を見渡すと、想定していなかった原材料価格の高騰や、新たな競争相手の出現など、製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。
こうした状況の中では、今まで以上にコストコントロールが重要なテーマとなり、その役割が「現場」にも強く求められるようになってきました。
そのため、生産管理担当者も、これまでよりも会計との結び付きを常に意識する必要がでてきています。
例えば、日々入庫や出庫が繰り返され、システムによって管理されているであろう在庫を考えてみましょう。
一見すると正確に管理されているように見えても、実際には在庫の動きが正しく把握できていないミスが発生することは少なくありません。
システム上にある数字と現実の在庫が一致しないという状況は、決して珍しいことではないのです。
こうした課題に対しては、日々の生産数量や入出庫実績を記録し、月次の棚卸で数量を合わせるだけでは不十分になりつつあります。
数量だけでなく、その在庫が「いくらなのか」という金額を、タイムリーに把握し、管理していく仕組みが重要になります。
生産管理の目的は、これまでの「モノ」を管理することから「モノ+カネ」を一体で管理することへと、少しずつ変わってきていると感じています。

コストコントロールも支える生産管理へ
多品種・短納期など、製造現場に求められるハードルは益々高まっています。
こうした中で、製造業の基本でもある「QCD」のうち、特に“C(コスト)”についても、現場任せにするのではなく、「現場」をサポートする生産管理の仕組みがこれまで以上に必要になってきていると思います。
品質や納期を守りながら、同時にコストも意識していくためには、現場の努力だけに頼らない仕組みづくりが欠かせません。
その役割を担うのが、生産管理なのではないでしょうか。
環境が変わる中で、生産管理に求められる役割も確実に広がっています。「モノ」と「カネ」をつなぎ、現場を支える存在として、これからも進化していく必要があると感じています。
※本記事は2025年12月に内容を見直し、一部更新しています。



