Column 製造業コラム
製造業では、注文を受けた製品を納期までに完成させるために、「いつ、何を、どれだけ作れるか」を決めておく必要があります。
そこで欠かせないのが「生産計画」です。
生産計画は、単純に受注した数量を並べていけば完成するものではありません。
材料は足りているか、設備は空いているか、ほかの製品の生産予定はどうなっているかなど、様々な条件を確認しながら計画を組む必要があります。
特に、製品の種類や受注数が多い工場では、少し予定が変わっただけでも計画全体を見直さなければならないことがあります。
この記事では、生産計画の基本から具体的な立て方、製造現場で起こりやすい課題、生産計画を効率化する方法まで解説します。
生産計画とは?
生産計画とは、製品を「いつ・何を・どれだけ」生産するかを決める計画です。
受注内容や需要予測をもとに生産する製品や数量を決め、納期に間に合うように生産のタイミングや順番を組んでいきます。
ただし、工場では「100個注文されたから100個作る」というだけでは計画を立てられません。
必要な材料が揃っているか、使用する設備が空いているか、ほかの製品の生産予定と重ならないかなども確認する必要があります。
つまり生産計画では、受注・在庫・材料・設備・人員・納期などの情報をもとに、実際に生産できるスケジュールを組むことが求められます。

生産計画を立てる目的
生産計画を立てる主な目的は、必要な製品を必要な時期までに生産しながら、工場の設備や人員などを効率よく活用することです。
●納期を守る
受注した製品を納期までに完成させるには、製造にかかる時間から逆算して、生産開始のタイミングを決める必要があります。
複数の工程がある製品では、各工程の期間も考慮しなければなりません。
●在庫を適正に保つ
必要以上に生産すれば、製品や部品の在庫が増えてしまいます。
一方で、生産量が不足すれば欠品が発生し、注文に対応できなくなる可能性があります。
現在の在庫や今後の需要を確認しながら、生産数量を調整することが重要です。
●設備や人員を有効に使う
工場の設備や人員には限りがあります。
同じ設備を複数の製品で使用している場合、すべてを同時に生産することはできません。
設備の能力や稼働状況を確認し、無理のない生産スケジュールを組む必要があります。
●生産計画を立てるために必要な情報
生産計画を作成する際には、次のような情報を確認します。
- 受注数量・納期
- 需要予測
- 製品・部品の在庫
- 原材料の入荷予定
- 製造工程
- 工程ごとの所要時間
- 設備の稼働状況
- 作業員の人数や稼働状況
- すでに決まっている生産予定
例えば、「A製品を100個、来週までに生産する」という注文が入ったとします。
この場合、数量と納期だけでは生産計画を作れません。
A製品の在庫はいくつあるのか、必要な材料は揃っているのか、製造にどのくらい時間がかかるのか、使用する設備はいつ空くのか、といった情報も確認する必要があります。
ここで問題になりやすいのが、必要な情報が複数の場所に分散しているケースです。
受注情報は営業、在庫は倉庫、材料の入荷予定は購買、生産実績は製造現場というように管理場所が分かれていると、計画を作るたびに担当者へ確認する必要があります。
生産計画の立て方
ここからは、生産計画を立てる基本的な流れを紹介します。
1.受注・需要を確認する
まず、何をどれだけ作る必要があるのかを確認します。
受注生産の場合は注文内容や納期、見込み生産の場合は過去の販売実績や需要予測などを参考に、生産数量を決めます。
2.在庫と材料を確認する
次に、製品や仕掛品、原材料、部品などの在庫を確認します。
在庫が十分にある製品まで生産すれば、過剰在庫につながります。
反対に、必要な材料が不足している場合は、入荷予定を考慮して生産日程を組む必要があります。
3.設備・人員の状況を確認する
使用する設備がほかの製品の生産で埋まっていないか、必要な人員を確保できるかなどを確認します。
設備の能力を超えた生産予定を組んでしまえば、計画通りに生産することはできません。
4.生産する順番・日程を決める
ここまでの情報をもとに、生産する順番や日程を決めます。
納期の近い製品を優先するだけでなく、同じ材料を使う製品をまとめたり、設備の段取り替えを減らしたりするなど、工場の状況に合わせて調整します。
5.実績を確認して計画を調整する
生産計画は、作成して終わりではありません。
設備トラブルや材料の入荷遅れ、急な注文変更などによって、計画通りに進まないことがあります。
そのため、実際の生産状況を確認し、必要に応じて計画を見直します。
「計画を立てる→実績を確認する→計画を調整する」というサイクルを回すことが、生産計画の運用では重要です。

生産計画でよくある課題
・計画生成に時間がかかる
受注、在庫、材料、設備などの情報を一つずつ確認しながら計画を作っていると、それだけで多くの時間がかかります。
製品数や工程数が増えるほど確認項目も増えるため、担当者の負担も大きくなります。
・Excelでの管理が複雑になる
生産計画ではExcelが利用されることも多くあります。
手軽に始められる一方、製品数や受注数が増えると、複数のファイルやシートを使って管理することになりがちです。
「どれが最新のファイルか分からない」「担当者が休むと修正方法が分からない」といった問題につながることもあります。
・急な変更への対応が難しい
納期や注文数量が変更されると、その後の生産予定や設備の使用予定も調整する必要があります。
Excelなどで手作業による管理をしている場合、関連する箇所を一つずつ修正しなければならず、対応に時間がかかります。
・計画と実績の差が分からない
計画では順調に進んでいても、現場では予定より生産が遅れていることがあります。
実績を確認する仕組みがなければ、遅れに気づくのが遅れ、納期直前になって問題が発覚する可能性もあります。
生産計画を効率化する方法
生産計画を効率化するには、計画作成そのものだけでなく、”計画に必要な情報をすぐ確認できる状態を作ること”がポイントです。
◆生産に関する情報を一元管理する
受注、在庫、生産実績などの情報をまとめて管理できれば、計画作成のたびに複数の資料を確認する手間を減らせます。
また、関係者が同じ情報を確認できるため、情報共有もしやすくなります。
◆計画と実績を比較する
計画だけでなく、実際にどれだけ生産できたのかも記録します。
計画と実績を比較することで、予定より遅れている製品や工程を把握し、早めに対応できるようになります。
◆生産管理システムを活用する
生産計画に必要な情報が複数のExcelや紙に分散している場合は、生産管理システムの活用も選択肢の一つです。
受注や在庫、生産実績などをまとめて管理することで、計画を作る際の情報収集や確認作業を減らせます。
また、計画と実績を同じシステム上で管理することで、生産状況を把握しやすくなります。
生産計画を見直すなら、まず現状の業務整理から
生産計画を効率化したい場合、まずは現在の業務を整理してみましょう。
例えば、
- 計画作成にどのくらい時間がかかっているか
- どの情報を使って計画を作っているか
- 情報がどこで管理されているか
- 計画変更はどのくらい発生しているか
- 計画と実績をどのように比較しているか
などを確認します。
「在庫を確認するために別のExcelを開く」「材料の入荷予定を担当者に確認する」といった作業が多ければ、情報を一元化することで改善できる可能性があります。
まとめ
生産計画は、製造業において「いつ、何を、どれだけ作るか」を決めるための重要な業務です。
受注や納期だけでなく、在庫、材料、設備、人員などを考慮し、実際の生産能力に合わせて計画を立てる必要があります。
また、計画を作成した後も、実績を確認しながら状況に応じて見直していくことが大切です。
製品数や受注数が増え、「生産計画を作るのに時間がかかる」「急な変更への対応が大変」「計画と実績の差が分からない」といった課題が出てきた場合は、生産管理の仕組みそのものを見直すタイミングかもしれません。


